歯がなくなる原因は、虫歯、歯周病、歯の破折、交通事故などの外傷が挙げられますが、9割以上は虫歯と歯周病が原因です。
歯ブラシが届きにくい・歯間清掃用具を使わない等が原因で、充分に汚れが落とせず、奥歯は虫歯や歯周病になりやすいです。
また、奥歯の虫歯は見つけにくく、症状が出たときには虫歯が大きく進行していることが多いです。痛みを我慢して虫歯を放置していると、20代でも抜歯が必要になる場合があります。
今回は奥歯を喪失してしまうことで、他の歯の喪失につながってしまう流れを説明していきます。
虫歯による歯の喪失は以前のブログを参考にしてください。
<ブログ>歯を喪失しないための歯科医院のかかり方
奥歯の役割とは
通常、奥歯(大臼歯)は親知らずを除いて左右に4本づつあります。上下に生えており、左右で2箇所づつ接触していることになります。
奥歯の役割は、食物を粉砕し、消化しやすい形に変える役割があります。奥歯は臼歯(きゅうし)と呼ばれていて、名前の通り”臼”のように食物をすり潰すために使われています。
他の役割としては、歯を噛み合わせた時に顎の位置を支えることがあります。
顎の関節は、他の関節よりも柔軟に動くので、毎回同じところで噛んでいる訳ではありません。噛む力を一番発揮しやすい顎の位置で、顎の関節が止まるようになっています。噛む力はとても強く体重ほどの力が1本の歯にかかっていると言われています。奥歯は根が複数本あり、骨にしっかり根を張っているので、噛む力を支えられます。
奥歯の喪失が他の歯に与える悪影響
①奥歯が無くなると、他の奥歯の負担が増える
奥歯が無くなると、上下で接触する歯が少なくなるので、噛む効率が悪くなり、食事を取りにくくなります。
歯がなくなった側で噛みにくくなるので、左右平等に噛まなくなり、どちらかの奥歯の負担が大きくなります。
もし、他の奥歯が治療していて歯根しか残ってなかったり、歯周病で歯を支える骨が十分にないと、噛む力に耐えきれず、歯が折れてしまったり、歯の揺れが増して、歯の喪失につながります。
また、噛み合わせを失った奥歯は噛み合う相手を探して、歯が動いてくるので、噛み合わせが狂うことも問題になります。
②奥歯の噛み合わせが無くなると、前歯に負担がかかる
奥歯がなくなってしまうと、ますます食事も取りにくくなり、今度は前歯を使って食事を取ろうとします。
しかし、奥歯の役割はものを噛み砕くのに対して、前歯の役割はものを噛み切ることです。
食事を十分に粉砕できず、他の消化器官に負担がかかります。
・前歯は噛む力を支えられない
上顎の前歯は下顎の前歯から下から突き上げられるように位置しています。そのため、噛む力が歯根の方向ではなく、歯を揺らす方向にかかります。
奥歯が無くなることで、噛む力を十分に支えられず、上の前歯がグラグラ揺れてきます。歯が揺れることで周囲の組織が破壊されると、保存が難しくなります。下の前歯よりも、上の前歯が先になくなってしまうケースは多いです。
③噛み合う歯がなくなってしまう
前歯がなくなってしまうと、上下で噛み合う歯がなくなってしまいます。上下の歯のあたりが無いことを”すれ違い咬合”といい、噛み合わせを維持することがかなり難しくなります。
噛み合う歯がないので、入れ歯を使用することになります。入れ歯を使用することで、噛む力を『入れ歯と天然歯』で支えることになります。
歯は骨で支えられているのに対し、入れ歯は粘膜がメインで支えているので、天然歯と比較して支えは弱いです。歯が残っているところは強い力で噛めるのに対し、入れ歯は大きな負担はできません。
大きな力が入れ歯にかかり続けると、粘膜では十分負担しきれす、入れ歯を支えている骨が吸収してしまいます。骨の状態が悪くなると、入れ歯が破損しやすくなったり、使用時に痛みが出やすくなったりします。
また大きな力が入れ歯にかかることで、入れ歯を維持している歯にも負担がかかり、歯の喪失を促進してしまいます。
お口は全て合わせて一つの器官です
奥歯を喪失したことで、少しづつ噛み合わせが狂い始めてしまい、最後にはお口全体の問題につながってしまうケースは多くあります。そこには噛む力や歯の残存状態が関係しています。
虫歯や歯周病を早いうちから予防し歯を喪失しないようにするのはもちろん、噛む力をコントロールする為にナイトガード(マウスピース)を使用したり、奥歯を喪失してしまった場合は、インプラント治療を取り入れることで、天然歯と同様に噛めるようにし、他の奥歯の負担を軽減することも重要になります。
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