歯周病ってテレビ等で聞いたことはありますか?
「おじいさん・おばあさんが、歯がグラグラになる病気か。まだ若いから大丈夫。」と思っていませんか。
歯周病は40代以上の方のおよそ半数が罹っている病気です。
25歳〜34歳でも30%以上が歯周病の症状が出ています。(4mm以上の歯周ポケットを保有している)
痛みはほとんどなく進行していく病気のため、気付いた時には状態が悪くなってしまっている事が多いです。
歯周病はしっかりとした知識を持てば予防できますので、ぜひ読んでみてください。
目次
歯周病って何?
歯周病とは漢字の通り、歯の周りの病気です。
歯の周りには、歯肉・歯槽骨・歯周靭帯があります。
お口の中の細菌が原因で、これらの組織が破壊されてしまいます。
歯は骨によって支えられているので、歯周病が進行して骨がなくなってしまうとグラグラ揺れてしまいます。
歯周病の原因は?
歯周病の原因はお口の中の細菌です。
歯周病菌は歯肉の近くに複雑な細菌叢(バイオフィルム)を作っています。
付着したばかりのバイオフィルムは歯ブラシでも除去できますが、唾液の中に含まれているカルシウム等のミネラルを吸収して、硬くなり歯石を形成し、歯に強固にくっつきます。
歯周病菌は酸素がない環境を好むので、歯肉の深い所で増殖していきます。
さらに歯石が細菌の付着の足場になり、歯肉の中深くに入っていきます。
(歯周ポケットの形成)
歯根の周りのバイオフィルムによって炎症が誘発され、歯周組織が破壊されてしまうのです。
歯周病の症状
歯周病は炎症が歯肉だけに限局している『歯肉炎』と炎症がさらに進行し骨にまで波及してしまった『歯周炎』に分類されます。
歯肉炎は歯周病の入り口です。炎症の周囲を綺麗にすると元の健康な歯肉に戻ることができます。しかし、炎症を放置しておくと、歯周炎に進行し骨が溶けてしまいます。
歯肉の治癒と違い、骨は壊されてしまうと、元の状態に戻ることはありません。
出血や歯肉の腫れ
歯肉がピンク色なのは粘膜内の毛細血管が透けて見えているからです。
バイオフィルムににより炎症が起きると、毛細血管が拡張し、血流量が10倍も増加します。
それにより、歯肉がより赤く見えるようになります。
また、炎症により血管内の液状成分が流出するため、歯肉に腫脹が認められます。
歯磨きがうまく当てられていない場合は、1週間ほどで歯肉の腫れ・発赤が見られるようになります。
鏡で上下の歯肉を確認し、ぷくっと腫れていたり、歯ブラシを当てた時にブラシの毛先に血液が付いている場合は、普段から歯磨きがうまく当たっていないことが疑われます。
しばらくその状態が続いていると、歯周病が進行している可能性が高いです。
口臭がする
口臭は揮発性硫黄化合物(VSC)である硫化水素、メチルメルカプタンなどのガスが原因です。
これらは、歯周病原因菌が唾液・血液・食物残留物を分解して産生されます。
硫化水素はおならの匂い・卵の腐った匂い、メチルメルカプタンは玉ねぎが腐った匂いに例えられます。
歯周病が進行するほど、生息する細菌の数も多くなるので、より口臭はひどくなります。
歯がグラグラする
歯を支えている骨の吸収は歯周病の最も特徴的な病態です。
顎の骨も体の他の部位と同様、骨吸収と骨添加が繰り返されています。
歯肉に炎症が起きていると、炎症性細胞が周囲の骨の吸収を促進してしまいます。
そのため、症状が進行すると歯を支える骨がどんどん破壊され、歯がグラグラ揺れるようになります。
噛む力に耐えられなくなると、歯が移動してしまったり、症状がひどい場合は物を噛むと痛くなります。
治療方法
歯周病の治療は、歯の周りの細菌の数を徹底的に減らすことです。
まずは歯磨きをしっかり行い、歯磨きで除去できる細菌を減らします。
それにより、出血や腫れをできるだけ減らします。
その後、歯磨きでは除去が不可能な歯石やバイオフィルムを落とし、歯の表面を滑沢にしていきます。場合によっては、歯肉を切開して、汚れが見える状況で処置を行うことが必要になります。
その間も細菌の再感染の防止のため、歯磨きを継続して行ってもらいます。
最後に歯肉の評価を行い、状態が改善すれば、治療は終了になります。
しかし、歯周病は磨き残しがあると再発します。
一度完治したら治療が終わりという訳ではなく、治療が終わった後も継続して管理していくことが重要です。
まとめ
歯周病は口腔状態を管理すれば、予防できる病気です。
また、早期に発見できれば、治療も簡単に済むことが多いです。
定期的に歯科医院にかかり、お口の中に変化がないか確認し、クリーニングをして清潔なお口を維持するようにしましょう。
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