スポーツドリンクや炭酸飲料でいつも水分補給していませんか。
テレビ鑑賞やゲームをしながら、お菓子とジュースを飲んでいませんか。
もしも、これらに該当する場合は虫歯のリスクを高めている可能性があります。
普段の食事の取り方を注意するだけで、虫歯のリスクを下げることができます。
目次
- ○ お口の中は細菌だらけ
- ・脱灰と再石灰化
- ・ステファンカーブ
- ・睡眠時は唾液の量が少ない
- ○ 虫歯になりにくい食事の取り方
- ・ケーキを食べるタイミング
- ・虫歯の注意が必要な食べ物
- ・食事後のブラッシング、キシリトールガム
- ○ まとめ
お口の中は細菌だらけ
脱灰と再石灰化
虫歯の原因は、お口に潜む細菌が酸を産生し歯を溶かす事だと以前のブログでお話ししました。
細菌は糖や炭水化物を分解し、酸を作り出します。歯の表面(エナメル質)はpH5.5より低くなると、歯が溶けてミネラルが失われます。(脱灰)
しかし、お口の中がずっと酸性の状態が続くのではなく、唾液の緩衝作用によって30〜40分の時間をかけて、酸性から元に戻っていきます。歯の溶け出したミネラルも歯の表面に戻っていきます。(再石灰化)
つまり私たちが何かを食べる度に、お口の細菌も活動をして、唾液が歯を守っている訳です。
ステファンカーブ
唾液は細菌が作った酸を緩衝していますが、あまりにも間食の頻度が多いとお口の中が酸性の状態が長く続いてしまい、歯が溶ける時間が長くなります。
上の図はお口の酸性の度合いを表しています。下に行くと酸性が強くなります。横軸は時間です。
図を見てもらうと、左図の「規則正しい食事」は食後に一度脱灰した後(赤)、時間をかけて元の値まで戻っている事(再石灰化:青)がわかります。
一方、右図の「食事が不規則」で間食の頻度が多い方が、再石灰化(青)よりも脱灰(赤)の割合が多い事がわかります。
再石灰化の時間が十分にないため、脱灰が進み、歯のミネラルがどんどんと失われ、最終的には歯の構造が崩れ、表面に穴があいてしまいます。これが虫歯の始まりです。
睡眠時は唾液の量が少ない
睡眠時に唾液の分泌はほとんど無い為、寝る前に食事等をした場合、脱灰の時間が長くなってしまいます。寝ている時は虫歯菌が一番活発な時間です。
お食事・飲酒をした後、歯磨きを注意しましょう。
虫歯になりにくい食事の取り方
これまでの説明で間食をするのが少し怖くなってしまったと思います。でも安心してください。「お菓子を全く食べないで下さい。」と言っている訳ではありません。きちんとしたタイミングで食べれば問題ありません。
ケーキを食べるタイミング
早速問題です。ケーキを食べるタイミングは次のいつでいいでしょうか。
① 3時のおやつ
② 食後のデザート
③ 小腹が減った時
今までの説明でもうお分かりかと思いますが、①②がケーキを食べるタイミングをして最適です。①3時のおやつは昼食と夕食の丁度真ん中の時間にあたる為、お口の中の再石灰化も十分に行われおり、問題ありません。
②食事とデザートを同じタイミングで食べているので、脱灰も1度です。食事後なので唾液が多く分泌されており、良いタイミングです。
③は頻繁でなければ大丈夫ですが、注意が必要です。
砂糖は依存性が少なからずあると思います。頻繁にお菓子を食べなくてもいいように、デザートやおやつである程度、心を満足しておくことが重要です。
虫歯の注意が必要な食べ物
虫歯菌は砂糖(ショ糖)が大好物です。
虫歯菌はショ糖を分解し、酸を産生するだけでなく、歯の表面に付着します。(プラーク、歯垢)歯に付着することで、産生した酸が留まってしまい歯を溶かし易い環境を作ってしまい、脱灰が進んでしまいます。
ショ糖の多く入っている食品はキャンディ、ガム、クッキー、果物などがあります。
他にも、お口に残りやすい食品も虫歯になり易いです。
キャラメルやポテトチップスには水飴や澱粉などが入っているため、長時間お口の中に停滞しやすく酸の産生が長時間にわたり行われます。
ポテトチップスなどの加工食品は製造過程で細かくなっているため、少し噛むと柔らかくなります。細菌も簡単に分解し酸を産生することができます。また、噛むとねっとりと歯にまとわりつくので、ショ糖含有のお菓子と同じくらいの虫歯リスクがあります。
飲み物では炭酸飲料やジュース、加糖コーヒー・紅茶を頻回に飲むのも虫歯のリスクを高めてしまいます。牛乳やお酒も細菌は分解できるので注意しましょう。
夏場や運動中の水分補給はお水、お茶が良いです。
食事後のブラッシング、キシリトールガム
お口の中の食べカスを減らす為に、お口をゆすぐ、歯を磨くことは有効です。
他には、おやつをよく噛むものにすることで、唾液の分泌量を増やすことです。
同じお芋でも、蒸した芋とポテトチップスでは噛む回数が違います。よく噛むことで唾液の分泌が促進されます。
唾液を増やしてお口の中を洗い流すという点ではキシリトール含有のガムも有効です。キシリトールは甘いですが、虫歯菌が分解できないので、酸は産生されません。
食後にお口をさっぱりする歯磨きと、虫歯菌を取り除く歯磨きは別物です。虫歯にならない歯磨きはこちらのブログをご覧ください。
まとめ
歯医者さんもお菓子は大好きです。
虫歯にならないよう工夫してお菓子を食べています。
毎日の間食の取り方を少し工夫するだけで、虫歯のリスクを抑えることができます。簡単にできることなので注意してみてください。
虫歯は食事だけでなく、普段の歯磨きがうまく行えているか、唾液・虫歯菌の質など多くの因子が関連しています。定期検診の他にも、希望があれば唾液の検査なども行っています。
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