「この歯は目立つ所だし、しっかり治療したいな。」とセラミック治療を考えたことはありませんか。
では、セラミックの詰め物・被せ物がどのように作られているか考えたことがありますか。
セラミックの治療法・作成法には違いがあります。
今回はセレック治療というセラミック修復についてご紹介していきます。
目次
- ○ セレック治療って何?
- ○ セレック治療のメリット
- ・神経の負担が少ない
- ・質の高いセラミックを作成できる
- ・短時間で精度の高い治療が可能
- ・虫歯になりにくく、歯となじみやすい
- ○ セレック治療のデメリット
- ○ まとめ
セレック治療って何?
セレック治療は歯科用CAD/CAM「セレックシステム」で行うセラミック治療です。
特殊なカメラを使用して歯型を撮影(スキャン)をし、モニター上に歯型の3D模型を取り込みます。
モニター上でセラミックの修復物(被せ物・詰め物)を設計し、コンピュータ制御のミリングマシンにて修復物を削り出します。
簡単まとめると、ビデオカメラで歯を撮影し、パソコンで歯型に合うような修復物を設計し、3Dプリンタで設計した修復物を削り出すことができます。
修復物作成の全て工程を院内で行うことができる為、2時間程で治療を完了することができます。
1980年にドイツにて研究・開発され、日本では1992年より最初のモデルが臨床で使用されている30年以上の実績のあるシステムです。
セレック治療のメリット
神経の負担が少ない
セレック治療は歯を削ったその日に治療が完了する為、神経内への感染を最小限に抑えることができます。
歯の内部には神経まで通じる無数の管(象牙細管)があり、冷たいものがしみる等の知覚を神経に伝達する役割があります。
歯を削った表面では象牙細管が露出してしまい、細菌が侵入しやすい状態になりま
す。
セレック治療では歯を削るのと同日にセラミックを接着することができる為、削った表面の細菌の侵入を最小限に抑えることができ、術後の違和感が少ないです。
質の高いセラミックを作成できる
セレック治療ではセラミックのブロックをミリングマシンにて加工することで、修復物を作成します。
セラミックのブロックは工場で規格生産されている為、異物の混入などの心配がなく、安心・安全・高品質のセラミック修復物を作成することができます。
短時間で精度の高い治療が可能
セレックシステムは特殊なカメラでお口の中を直接スキャンでき、型取りのゴム材料や石膏模型を使用しません。
ゴム材料や石膏は硬化時に寸法変化が起きてしまいます。一つ一つの寸法変化は小さいですが、全て合わさると修復物の適合に問題が出てしまうこともあります。
しかし、セレックシステムではデジタルスキャナーを使用し、直接型取りできる為、ゴム材料を使用した時に起こる微妙な誤差を無視でき、短時間で精度の高いセラミック修復物を作成することができます。
また、デジタルスキャナーを使用するので、型取りは20〜30秒程で終わります。通常の型取りと違い、材料を長時間お口に入れておく必要がないので、型取りも簡単に済ませることができます。
虫歯になりにくく、歯となじみやすい
セラミックは金属やプラスチックの詰め物と比較して、虫歯になりにくいです。
「金属の詰め物が取れたら虫歯になっていた」経験がありませんか。
銀歯と歯のくっつけているセメントは時間が経つと徐々に溶け出してしまいます。その隙間から虫歯になってしまうことが多いです。
一見、問題なさそうな銀歯でも虫歯が再発していることがあります。
また、金属の詰め物は歯と比べて硬過ぎるため、歯にヒビが入り、そこから虫歯になってしまう場合もあります。
プラスチック(レジン)の詰め物は光を当てて硬化させますが、その時に3%収縮します。小さい詰め物では問題ないほどの収縮量ですが、詰め物が大きい場合では使用するレジンの量も多るため、その収縮量も大きくなり、歯と詰め物の間に隙間ができてしまったり、歯にヒビが入ってしまうことがあります。
セラミックは歯との接着性が非常に高いので、セメントが溶け出すことがありませんし、プラスチックのように固まる時に変化もしません。
またセラミックは歯と硬さが近い為、周囲の歯質と同じようにすり減り、お口になじみやすく、長期間問題を起こしにくいです。
セレック治療のデメリット
・保険外診療
セラミック審美修復の為、保険が適応になりません。
・セレックシステムの知識が必要
最新機器を使用して治療を行いますが、術者のセレックに対する十分な知識・確実な手技が不可欠です。
まとめ
セレック治療は実績が長く臨床データも多くあり、20年後の生存率が90%というデータもあります。
セレック治療は質の高いセラミック治療をスピーディに行うことができます。
見た目が良いものはもちろん、虫歯の再発を抑えた方にもオススメな治療法です。